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磁針 -コラム-

”磁針”は日刊紙”羅府新報”に掲載されるコラムです。

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[48] 橋のない川  2011/03/22 15:22:02
掲載日:06/03/1998  E-Mail  Home
 友人に薦められて「橋のない川」を読んだ。

 時は明治末期から大正、昭和の初め、大和盆地を背景に、エタとか四つとかいわれ、部落差別を受けてきた人達の開放に向けて目覚め戦って行く過程を、日露戦争で父親を亡くした二人の多感な男の子の成長を通して描いている。

 周囲では何気ない言動が、差別を受ける側ではどのようにつらく胸に響くのか、その部落に生まれたというだけで本人がどんなに努力しても直しようのない宿命。人が人を差別する、人間生まれた時は、みんな裸、みんな名前もない、それが一方はエタ、非人といわれ、一方は天皇、華族といわれる。太陽の下、土の上、自然界では人間も動物もみな同じなのになぜこのような違いが生じるのか。主人公の畑中孝二が小学生から青年に成長する中で様々に悩み、様々に考える。そうしていきつく先は大同団結した部落開放、差別撤廃の水平社運動であった。

 時代の波は,米騒動、炭坑や造船所の労働争議、小作争議と民衆が立ち上がり始め、社会が大きく変わろうとしている。金10円の納税者のみに与えられた選挙権が満25歳以上の男子全員に認められる普通選挙法が制定されたのもこの頃である。

 この本は日本の近代化の過程を書くに当たって、底辺の農民、もっと底辺のエタの日常生活を通して描いている。一見救いようのない状況の中で生きている人達が底抜けに明るく逞しいのが救われる。

 振り返って現代を見てみよう。人は努力をすればそれなりに報われ、言いたいことも自由に言える。選挙権は男女を問わず国民全員に与えられ、社会の形態は自分達で変えられる手段が目の前にある。それなのに、政治には失望した、誰に投票しても変わらない、という人達が増え、投票率は下がる一方だ。それだけみんなが現状に満足しているのか。生活が豊かになったからか。過去の人々の苦闘を思う時、今の世のありがたさを考えずにはいられない。
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