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磁針 -コラム-

”磁針”は日刊紙”羅府新報”に掲載されるコラムです。

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[43] 苦しみの果ての平穏  2011/03/22 15:16:07
掲載日:02/17/1998  E-Mail  Home
 昨年の12月に日本人に騙された韓国人夫婦のことを紹介した。これはその後日談である。

 ゴルフの会から500ドルのチェックを送った後、暫くして奥さんから手紙が届いた。「夫からチェックを渡された時、彼がお金を返してきたのだと思いました。ところが会ったこともないあなた達からだったのです。私は果たしてこのお金を受け取ってよいものだろうかと何日も迷いました。」「その内、私の体内に暖かいものが満ちてきました。いつの日かあなた達から受けた同じ事を他の人にお返ししたいと思います。」

 その後の調べで他にも2人の被害者がいることが判明した。被害者の心の傷を癒すには心で返したいと、5ドルか10ドルに限定し、なるべく多くの人達に心を寄せてもらおうと寄付を呼びかけた。

 先週末、被害者の一人、空港の近くで小さなレストランを営んでいるリー(仮名)さんを訪ねた。夜7時頃、店に着くと奥さんが満身に歓迎の意を表し迎えてくれた。集まった16人分の寄付金を手渡すと「ホワイ? 私たちはもう十分頂いています。このお金は頂けません。」と受け取ろうとしない。

 暫くして、ようやく手の空いたご主人が出てきてぽつりぽつりと語り出した。自分も奥さんも韓国では一流の学校を卒業したこと、日本で働いたこと、アメリカに渡って成功し、他にも大きな日本食のレストランをやっていたこと。

 ところが15歳の次男を交通事故で亡くしたところから運命が急転した。次々と災難が降りかかり、レストランを一つ売り、家も手放した。最近ようやく落ち着いてどうにか小さな家を手に入れることが出来た。忙しく働き、唯一の休みの日曜日には教会に行くのが楽しみだという。

 「あの頃は考えてみると驕っていました。私も家内も一流の教育を受け、自分達は偉いんだという意識がありました。車の窓拭きに来る貧しい人を情け容赦なく追い払ったり、同じ韓国人も見下していました。」「ところが、不思議なものです。生活が豊かだった頃はいつも家内とお金や投資のことで言い争っていました。今は貧乏だけれど穏やかなものです。」
「騙されたと知った時、思わずかっとして警察に届けました。しかし、考えてみるとあの人は本当に困っていたのだと思います。あの人にも将来があるのだから、今は警察に届けたことを恥ずかしく思っています。」

 ようやくチェックの入った封筒を渡して外へ出た私達の目に街の明かりがやけに明るく映った。
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