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磁針 -コラム-

”磁針”は日刊紙”羅府新報”に掲載されるコラムです。

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[3] 文化大革命  2011/03/22 14:40:48
掲載日:02/13/1996  E-Mail  Home
 彼は上海生まれの上海育ち。イギリス人の父は、若い頃に中国に渡った。父親は中国をこよなく愛し、中国人女性と結婚し、やがて中国名を名乗って中国に帰化した。だから彼は中英の混血である。外見は全くの白人で、中国人との混血とは見られない。

 文化大革命当時の彼は大学生、革命の嵐は学園にも吹き荒れた。学生達は毛沢東語録を肌身離さず身に付け、復唱した。当時、毛語録はこの嵐から身を守る唯一のお守りだったのである。

 彼は当然のことながら迫害の対象として目の敵にされた。外見上はまったくの白人で、文化大革命では、偉大な毛沢東主席、偉大な中国、偉大な東洋が叫ばれていたからである。

 ある夜、彼の部屋に10数人が襲来し、灯を消した暗闇で彼をめった打ちにした。これといった理由があったわけではない。彼の外見が気に食わなかっただけである。革命の嵐が吹き止んだとき、当局に「誰がやったんだ、名前を挙げろ」といわれた。彼は「暗闇で見分けがつかなかった」と答えた。見分けがつかなかったのではない。告発する事により、恨みが恨みを呼ぶ事態を避けたかったに過ぎない。彼は言う「一人一人の名前は今でもはっきりと覚えている。許す事は出来る。しかし決して忘れる事はできない」と。

 そのようなどん底で彼を愛し結婚する女性が現れた。子供も出来たが下放政策の下で、家族と離れて遠隔地に追いやられ、農作業に従事した。家族に会えるのは年に一回のみだ。自分の町までには汽車で3〜4日も掛かる。町が近づくのをあと何日、あと何時間と数えながら懐かしい家族への道を辿ったそうだ。それだけに再び家族と別れるときは断腸の思いだったに違いない。

 中世のヨーロッパでもアメリカでも魔女狩りが行われ、多くの罪のない人々が劫火の中に焼き殺された。現在も、アフリカ各地やボスニア・ヘルツェゴビナで同じような事が繰り返されている。

 文化大革命。やはりあれは熱病のようなものだったのだろう。その熱病は中国全土を席捲し、貴重な多くの書物が焼かれ、有能な多くの知識人達がいわれのない迫害を受けた。古いもの、西洋風のものは全てが否定されたのである。この熱病は10年に渡って続き、中国に計り知れないダメージを与えることになった。

 彼はその後も長年、ドアに人の気配がしただけでびくっと身構える癖が抜けきれなかった。肋骨を折られ酷く傷ついた背骨は、心の古傷と共に今でも痛むという。
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