Wakao & Associates, Inc.
| HOME | SITEMAP | CONTACT US |    
NEWSProfileData LibraryPersonal Activityblank


Personal Activity
磁針 コラム
JACAL会
シーホースクラブ
JOVA
オーロラファンデーション

 年代別
 Generation distinction

日米・地域のWA

磁針 -コラム-

”磁針”は日刊紙”羅府新報”に掲載されるコラムです。

 記事題名表示本文一覧表示

スレッド表示

[13] フライング・ウィング  2011/03/22 14:54:58
掲載日:07/02/1996  E-Mail  Home
 6月25日、ホーソン市のエアポートでノースロップ社のフライング・ウィングの50周年記念式典が行われた。フライング・ウィングというのは全く尾翼のない飛行機で、ジャック・ノースロップ氏が考案したユニークな飛行機だ。大きな主翼が両側後方に向かって拡げられ、操縦席は真ん中にぽこっと丸く付いている。形はブーメランにそっくり。2機のエンジンが主翼の後ろ側についていて、それまでの飛行機の常識を破る形をしている。実物を見ても、果たしてこれで本当に飛べるのだろうかと首を傾げたくなる。

 この飛行機がホーソン・エアポートを初めて飛び立ったのが1946年6月25日というから、終戦間も無い昭和21年のことである。フライング・ウィングはその奇妙な姿形から議会では購入をめぐって論議の対象となり、ジャック・ノースロップ氏は何度も公聴会に呼び出されしつっこく質問を浴びせられたという。

 とうとう堪忍袋の緒が切れたノースロップ氏は「これは俺の飛行機だ。俺が自信をもって作った飛行機だ。他人にとやかく言われる筋合いはない。買ってもらわなくて結構。」と大見得を切って契約を破棄してしまった。真偽のほどは確かめていないが、議会の証言でファック・ユーとやったというからよほど頭にきたのだろう。議会も対抗上納入されていた試作機を全て破棄させ、世にもユニークな形をしたフライング・ウィングの現物は地上から消え去ったかに見えた。ところがある日、飛行機のサルベージ・ヤードで沢山のジャンクの中に破壊されたフライング・ウィングが1機混じっているのが発見された。以来、何人もの熱心な飛行機気違いのボランティア達によって部品が集められ修復されてとうとう再び空を飛べるようになったのである。今はチノ市の航空博物館に収まっているが、この記念すべき日にホーソン・エアポートまで飛来し、この日の主役を務めることになった。

 50周年記念式典が続く中、人々が空を見上げて口々に感嘆の声を上げた。この日のメインイベントのデモ飛行を行なう最新鋭爆撃機Bー2ステルスが上空に姿を現したのだ。もう誰もスピーチを聞く者などいない。1度上空を通り過ぎたステルスは大きく左に旋回しながら南の空に姿を消した。数分後、東の空にライトをつけたステルスのエイの姿にそっくりの黒い機体がぽつんと現れたかと思うと見る見るうちに迫ってきた。人々の真上を圧倒的な大きさとレーダーに補足されないために曲線に形取られた優雅な姿を見せながら地上500フィートの高さで滑走路の真上を直進。機は人々に体を揺り動かすエンジンの轟音と身内から沸き上がる感動を残してゆっくりと西の上空へと消え去った。

 このステルスにはフライング・ウィングの基本的な機体設計が受け継がれているという。50年前、議会であざけられた醜いアヒルの子が、白鳥となって人々の前に姿を見せた瞬間であった。
[削除] [編集]  


Copy Rights 2002 WAKAO & ASSOCIATES All rights reserved. wakao@wakao.com